ステロイドを使うと免疫力が低下する・骨がもろくなる・糖尿病になりやすくなる…と副作用を心配する人が多いと思います。
夫は成人してからアトピーが再発症してステロイドを使用し、その後脱ステを経験しました。娘は乳幼児からひどいアトピーでしたが結局ステロイドは使いませんでした。
でも、そのどちらの理由も上記に挙げたステロイドの副作用を鵜呑みにしたわけではありません。
そもそも、巷で言われている免疫力の低下や骨がもろくなるといった副作用はステロイドの飲み薬によるものです。
飲み薬は血液中に取り込まれ全身に影響を及ぼしますが、塗り薬は血液中に取り込まれるのはわずかです。(ゼロではありませんが)
血液中に入ったとしても肝臓で処理されるので副作用はほとんど出ないと言われています。
しかし、外用薬にも副作用があることも確かです。
ステロイド外用薬の副作用
- 皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)
- 毛細血管が浮き上がる
- 体毛が濃くなったり長くなる
- 皮膚が赤くなる
- 内出血しやすくなる
- ニキビができやすくなる
- 顔や口のまわりが赤くブツブツになる
- 真菌や水虫に感染しやすくなる
- 細菌感染しやすくなる
- 妊娠線のような線ができる
このようにステロイド外用薬の副作用と言われているものは局所的なものです。
これらは薬を一旦中止することによって解消されていきます。
しかし、注意が必要な副作用もあります。
皮膚萎縮線条
ひとつは上記にもあげてある妊娠線のような線です。ステロイド外用薬の副作用のひとつに皮膚萎縮があります。これは表皮と真皮が薄くなることで起こります。
さらに、真皮の組織が分離・断裂されると妊娠線のような白い線ができてしまいます。
これを皮膚萎縮線条といいます。
この白い線はいったんできてしまうと元に戻りません。
皮膚萎縮線条ができやすいのは、皮膚が薄く日常の動作でよく伸ばされる場所です。
- わきの下
- 胸
- 腰
- 足の付け根
- 太もも
これらの部位にできやすいので、ステロイド外用薬の副作用である皮膚萎縮を疑った際はすぐに医師に相談しましょうね。
緑内障
もうひとつ気をつけたいのが緑内障です。ステロイドの副作用として誤解されていたのが白内障・緑内障ですが、白内障に関してはステロイドとの因果関係は認められないという結果が出ています。
目の周りの炎症により強くこすったり叩いたりといった外的な刺激を長期にわたって繰り返すことにより発症すると考えられています。
しかし緑内障に関してはステロイド外用薬の副作用として限りなく黒に近いといえます。
ステロイド外用薬を目の周り・瞼・強いては顔面に塗ることによって眼圧が上昇する可能性が高いことがわかっています。
緑内障は眼圧が上がることによって視神経が圧迫され、組織が壊死して視野が欠損していく病気です。
すべての人に眼圧上昇が認められるわけではありませんが日本皮膚科学会のガイドラインにもステロイドと緑内障の関係が記されています。
また、厚労省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 緑内障」にはステロイドを使用している患者は定期的に眼科の検査が必要であると記してあります。