以前はアトピー性皮膚炎の診断や治療は、医師の経験や見解によって異なる場合がありました。
しかし今は皮膚科学会によって策定された「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」の登場により診断や治療に一定の基準ができています。
皮膚科における標準治療の3本柱とは?
アトピーの治療で皮膚科を受診するとすぐにステロイドを処方されるのでは?と思っている親御さんも多いと思います。
確かに、皮膚症状を抑えるために積極的にステロイドを使用する医師は少なくないと思いますが、まず皮膚科のガイドラインで定められている標準治療を理解しましょう。
◎悪化因子の除去
悪化因子とは、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させるものをいいます。
まず、何が悪化因子なのか知ることは大事なことです。この場合、血液検査が参考になります。(IgE抗体検査)
通常アトピー性皮膚炎の場合、ダニ・スギ・小麦・卵白・牛乳・大豆・ある種のカビなどを調べます。
検査で出た数値はあくまで参考で絶対ではありませんが、悪化因子を除去する目安にはなります。
また、検査ではわからなくても悪化因子になりうるものは生活の中でたくさん存在します。
例えば、ホコリやカビ、汗、石けんやシャンプー、衣類、日焼け、疲れやストレス等も症状を悪化させるたり長期化させる原因となることがあります。
お子さんの症状を見ながら、生活からなるべく取り除くことが大事です。
◎スキンケア
アトピーの人の肌は乾燥しやすいのでスキンケアは欠かせません。保湿はもちろん重要ですが、その前に清潔に保つことが大切です。皮膚には汗や汚れ、雑菌が付着しています。これらを放置していたり、洗い流さずに保湿剤を塗ってしまうと症状を悪化させる原因となります。
スキンケアの目的は、皮膚のバリア機能を回復させ守ることです。外的要因から守ることですから、日焼け防止のためにサンスクリーンを塗ることもスキンケアといえるのです。
◎薬物療法
アトピー性皮膚炎に使う薬には塗り薬と飲み薬があります。
皮膚科で処方される塗り薬は保湿剤・ステロイド外用薬・タクロリムス軟膏の3種類が主です。
ステロイドはその強さによって5段階に分かれています。タクロリムス軟膏は商品名はプロトピック軟膏です。2歳未満の幼児には使用が認められていません。
飲み薬はアレルギー反応やかゆみを抑える抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬が用いられます。